門前の小僧、『維摩経』を読む  維摩会(春秋館)で参禅ライフ

*12022年は、維摩経の本が次々と出版されています。

私は今年3月に出版された『全文現代語訳 維摩経勝鬘経

(角川ソフィア文庫)を買いました。

すべて口語訳になっているので、とても読みやすいです。

他にも今年は、『NHK「100分de名著」ブックス 維摩経: 空と

慈悲の物語』(釈徹宗著、NHK出版)も出版されています。

2017年にNHKの『100分 de 名著』という番組で、

維摩経』が紹介されて以来、かなり知名度がアップした

ようです。

他にも『維摩さまに聞いてみた 生きづらい人のためのブッダ

おしえ』(細川貂々著、晶文社)というマンガが今年出版されています。

3年前の2019年には、『サンスクリット版全訳 維摩経 現代語訳』

(植木雅俊著、角川ソフィア文庫)が出版されましたね。

維摩経』は紀元1〜2世紀頃に作られた大乗仏教経典です。

 飛鳥時代に日本に伝わり、聖徳太子による『三経義疏』の

中に『維摩経』が紹介されています(他の二経は『法華経

と『勝鬘経』)。

 ですから、古くから日本人が親しんできたお経といって

よいと思います。

維摩経』、『法華経』、『勝鬘経』の三経に共通するのは、

「家庭の生活を捨てずに、世俗の職業に就きながら、菩薩に

なる道を実践していくことができる」という点だと思います。

私も普通に仕事をもって働きながら、維摩会(春秋館)で

仏教を学び、心を磨いています。『維摩経』の主人公である

維摩居士は、維摩会(春秋館)の宗祖でもあります。

 

維摩経』は、以下の通り全十四章から構成されています。

仏国品第一、方便品第二、弟子品第三、菩薩品第四、問疾品

第五、不思議品第六、観衆生品第七、仏道品第八、入不二法門

品第九、香積仏品第十、菩薩行品第十一、見阿閦仏品第十二、

法供養品第十三、嘱累品第十四。

 

これから皆様と、鳩摩羅什尊者による漢訳『維摩詰所説経』を

最初から読みながら、維摩居士の教えを学んでいきたいと

思います。

第一章の「仏国品」からご一緒に読んでいきましょう。

 

維摩詰所説経  (一名不可思議解脱)

是(かく)の如く我聞きき。

一時(ひととき)、仏、毘耶離の菴羅樹園(あんらじゅおん)に

在(いま)して、大比丘衆八千人と俱(とも)なりき。

菩薩も三万二千おわしき。

衆(もろびと)に知識せられ、大智・本行皆悉く成就し

たまえり。

諸仏の威神(みちから)の建(た)立てたもう所なり。

法の城を譲らんが為に正法を受持し、能く獅子吼して、

名(ほまれ)十方に聞えたり。

衆人請わざるに友として之を安んじ、三宝を紹隆して

能く絶えざらしめ、魔怨を降伏して諸の外道を制す。

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昆耶離とは、ヴァイシャーリーという中インドにある

都市で、通商貿易が盛んだったようです。

菴羅樹園とは、遊女のアームラパーリーが釈尊

寄進した土地です。

比丘とは男性の出家者のことで、この場合は上座部

仏教の出家者を指します。

三宝は「三種の宝」という意味で、仏(ブッダ)、

法(ダルマ)、僧(サンガ)の三つのことです。

 

では、また明日。

 

*1:

ブッダガヤ(筆者撮影)