門前の小僧、『維摩経』を読む 維摩会@春秋館にて参禅ライフ4

仏と菩薩と聖声聞と独覚との過去現在未来のすべてに礼拝し奉ります。

それでは、一章の「仏国品」の続きを、ご一緒に読んでいきましょう。

 

衆(もろもろ)の法宝を集むること海の導師の如く、諸法の深妙の義に了達して、善く衆生往来(さまよい)の所趣(ところ)、及び心の所行(うごき)を知り、無等等の仏自在慧・十力無畏(じゅうりきむい)・十八不共(じゅうはちふぐう)に近し。

一切諸悪趣の門を関閉(とざ)せども、而も五道に生じて以て其の身を現し、大医王と為りて善く衆の病を療し、病に応じて薬を与え、服行することを得しむ。

無量の功徳みな成就し、無量の仏土みな厳(かざ)り浄む。

其の見聞する者、益を蒙らざるは無く、諸有所作(あらゆるしわざ)、亦むなしきはなし。

是の如く、一切の功徳みな悉く具足したりき。

 

「十力」とは、仏が具有する一〇種の智力(処非処智力・業異熟智力・静慮解脱等持等至智力・根上下智力・種種勝解智力・種種界智力・徧趣行智力・宿住随念智力・死生智力・漏尽智力)のことです。

「十八不共法(じゅうはちふぐほう)」とは、仏にだけそなわった(他の二乗や菩薩とは共通でない不共の) すぐれた18の徳のことで、(1) 身無失 (2) 口無失 (3) 念無失 (4) 無異想 (5) 無不定心 (6) 無不知捨心 (7) 欲無滅 (8) 精進無滅 (9) 念無滅 (10) 慧無滅 (11) 解脱無滅 (12) 解脱知見無滅 (13) 一切身業随智慧行 (14) 一切口業随智慧行 (15) 一切意業随智慧行 (16) 智慧知過去世無礙 (17) 智慧知未来世無礙 (18) 智慧知現在世無礙をいいます。

インド 王舎城の竹林精舎(筆者撮影)