門前の小僧、『維摩経』を読む  維摩会(春秋館)で参禅ライフ20

仏と菩薩と聖声聞と独覚との過去現在未来のすべてに礼拝し奉ります。

それでは、今回から第二章の「方便品」を、ご一緒に読んでいきましょう。

 

爾(そ)の時、毘耶離の大城(まち)の中に長者あり、維摩詰(ゆいまきつ)と名く。すでに曾て無量の諸仏を供養して深く善本を植え、無生忍を得て、弁才無礙なり。神通に遊戯して諸の総持におよび、無所畏を獲て魔の労怨(わざわい)を降し、深法門に入り、智度に善くして方便に通達す。大願成就して、衆生の心のねがいを明らかにし、又能く諸根の利鈍を分別す。久しく仏道に於て心已に純淑(もっぱら)にして、大乗を決定し、諸有(あらゆる)所作をなさんとして、よく思量す。

 

「毘耶離」とはヴァイシャーリーという街の名前です。

この地は、釈尊御在世の時代、ガンジス河北岸に栄えた国でした。

現在、ヴァイシャーリーで有名な遺跡が、下の写真の僧院跡の遺跡です。

 さて、ここでようやく『維摩経』の主人公・維摩尊者が登場します。

維摩尊者は、古代インドの富豪で、お釈迦様の在家の弟子となったと

いわれています。

サンスクリット語では「ヴィマラキールティ」という名で、

ヴィマラとは「清らかな」「清浄」という意味、

キールティは「ほまれ」という意味です。

維摩尊者は、「塵芥の中で清浄に生きる在家修行者」の姿を

象徴的に描いた存在といえます。

ヴァイシャーリーにある遺跡(筆者撮影)



 

参考資料:維摩会ホームページ