門前の小僧、『維摩経』を読む  維摩会(春秋館)で参禅ライフ6

仏と菩薩と聖声聞と独覚との過去現在未来のすべてに礼拝し奉ります。

それでは、一章の「仏国品」の続きを、ご一緒に読んでいきましょう。

 

また万の梵天王尸棄等有り、余の四天下より仏の所に来たって法を聴けり。また万二千の天帝有り、亦余の四天下より来って会坐に在り。余の大威力の諸天・龍神・夜叉・乾だつ婆・阿修羅・迦楼羅緊那羅・摩ご羅伽等悉く会坐に来りぬ。

諸の比丘・比丘尼・優婆塞・優婆夷らも、倶に会坐に来りぬ。

 

「比丘」は男性の出家修行者。

パーリ語のビックbhikkhuの音写で、もともとは「食を乞う者」という意味が

あったようです。

比丘尼」は女性の出家修行者。

「優婆塞」は男性の在家信者で、「優婆夷」は女性の在家信者のことです。

ナーランダ僧院(筆者撮影)

 

門前の小僧、『維摩経』を読む  維摩会(春秋館)で参禅ライフ5

仏と菩薩と聖声聞と独覚との過去現在未来のすべてに礼拝し奉ります。

それでは、一章の「仏国品」の続きを、ご一緒に読んでいきましょう。

 

共の名を、等観菩薩・不等観菩薩・等不等観菩薩・定自在王菩薩・法自在王菩薩・法相菩薩・光相菩薩・光厳菩薩・大巌菩薩・宝積菩薩・弁積菩薩・宝手菩薩・宝印手菩薩・常挙手菩薩・常下手菩薩・常惨菩薩・喜根菩薩・喜王菩薩・弁音菩薩・虚空蔵菩薩・執宝炬菩薩・宝勇菩薩・宝見菩薩・帝網菩薩・明網菩薩・無縁観菩薩・慧積菩薩・宝勝菩薩・天王菩薩・懐魔菩薩・電徳菩薩・自在王菩薩・功徳相厳菩薩・獅子吼菩薩・雷音菩薩・山相撃音菩薩・香象菩薩・白香象菩薩・常精進菩薩・不休息菩薩・妙生菩薩・華厳菩薩・観世音菩薩・得大勢菩薩・梵網菩薩・宝杖菩薩・無勝菩薩・厳土菩薩・金髻菩薩・珠髻菩薩・弥勒菩薩文殊師利法王子菩薩という。

是の如き等の三万二千人なり。

 

虚空蔵菩薩や観世音菩薩や弥勒菩薩は聞いたことがあると思いますが、

たくさんの菩薩様がいらっしゃるのですね。

菩薩とは、菩提を求め,衆生を救おうと願って六波羅蜜の行を修める人のこと。

元来は釈尊が悟りを開くまでの前生をさしたが、大乗仏教の興起後は、

大乗の教えを奉ずる人の通称となった。また仏に次ぐものとして大乗経典は

観音・弥勒・普賢・勢至・文殊など多くの菩薩を立て、歴史的にも竜樹尊者や

世親尊者らに菩薩の名前を付けるが、日本では高僧に贈る称号として用いられた。

(参照資料:平凡社百科事典マイペディア)

玄奘三蔵法師も学ばれたナーランダ僧院(インドビハール州ナーランダ県)

 

 

 

門前の小僧、『維摩経』を読む 維摩会@春秋館にて参禅ライフ4

仏と菩薩と聖声聞と独覚との過去現在未来のすべてに礼拝し奉ります。

それでは、一章の「仏国品」の続きを、ご一緒に読んでいきましょう。

 

衆(もろもろ)の法宝を集むること海の導師の如く、諸法の深妙の義に了達して、善く衆生往来(さまよい)の所趣(ところ)、及び心の所行(うごき)を知り、無等等の仏自在慧・十力無畏(じゅうりきむい)・十八不共(じゅうはちふぐう)に近し。

一切諸悪趣の門を関閉(とざ)せども、而も五道に生じて以て其の身を現し、大医王と為りて善く衆の病を療し、病に応じて薬を与え、服行することを得しむ。

無量の功徳みな成就し、無量の仏土みな厳(かざ)り浄む。

其の見聞する者、益を蒙らざるは無く、諸有所作(あらゆるしわざ)、亦むなしきはなし。

是の如く、一切の功徳みな悉く具足したりき。

 

「十力」とは、仏が具有する一〇種の智力(処非処智力・業異熟智力・静慮解脱等持等至智力・根上下智力・種種勝解智力・種種界智力・徧趣行智力・宿住随念智力・死生智力・漏尽智力)のことです。

「十八不共法(じゅうはちふぐほう)」とは、仏にだけそなわった(他の二乗や菩薩とは共通でない不共の) すぐれた18の徳のことで、(1) 身無失 (2) 口無失 (3) 念無失 (4) 無異想 (5) 無不定心 (6) 無不知捨心 (7) 欲無滅 (8) 精進無滅 (9) 念無滅 (10) 慧無滅 (11) 解脱無滅 (12) 解脱知見無滅 (13) 一切身業随智慧行 (14) 一切口業随智慧行 (15) 一切意業随智慧行 (16) 智慧知過去世無礙 (17) 智慧知未来世無礙 (18) 智慧知現在世無礙をいいます。

インド 王舎城の竹林精舎(筆者撮影)

 

門前の小僧、『維摩経』を読む 維摩会@春秋館にて参禅ライフ3

仏と菩薩と聖声聞と独覚との過去現在未来のすべてに礼拝し奉ります。

それでは、一章の「仏国品」の続きを、ご一緒に読んでいきましょう。

 

すでに能く随順して不退の輪(おしえ)を転じ、善く法相を解して、衆生の根(ちから)を知り、諸の大衆を蓋うて無所畏を得たり。

功徳・智慧、似てその心を修め、相好身を厳(かざ)りて色像(みめかたち)第一なり。

諸の世間のあらゆる飾好(かざり)を捨て、名称の高遠なること須弥にこえ、深信の堅固なることなお金剛のごとし。

法宝普く照して甘露の雨をふらし、衆(もろもろ)の言音に於て微妙第一なり。

深く縁起に入りて諸の邪見を断じ、有無の二辺復余習(またのこり)無し。

法を演べて畏無きこと獅子吼の猶く、其の講説する所、すなわち雷の震うが如し。

量(りょう)有ること無くして、すでに量を過(こ)えたり。

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無所畏」とはおそれるところのないこと。

 仏が大衆の中で法を説く時の、泰然として畏れるところのない自信のことで、

 四種あると言われています。

霊鷲山にて(筆者撮影)

 仏では、一切智無畏・漏永尽無畏・説障道無畏・説尽苦道無畏の4つ、

 菩薩では、能持無畏・知根無畏・決疑無畏・答報無畏の4つがあります。

 では、また明日。

門前の小僧、『維摩経』を読む  維摩会(春秋館)で参禅ライフ2

 『維摩経』第一章の「仏国品」の続きを、ご一緒に読んでいきましょう。

悉くすでに清浄にして永く蓋纏(まとい)を離れ、心(こころ)常に無礙解脱(むげげだつ)に安住して、念・定・総持・弁才断えず。布施・持戒・忍辱・精進・禅定・智慧及び方便力具足せざる無く、無所得不起法忍に逮(およ)べり。

 

布施・持戒・忍辱・精進・禅定・智慧の6つを「六波羅蜜といいます。

悟りに至るために為すべき六つの修行徳目のことです。

「布施」は、施しをすること。金品を施す財施

 仏法を説く「法施」、命を懸けて人々を仏道へ導く無畏施の三施があります。

持戒は、身を慎むために戒律を守ること。

「忍辱」は、どんな苦しみでも耐え忍ぶこと。

「精進」は、正しい修行を続けて努力すること。

「禅定」は、妄想や雑念を払い、心を一所に定めて集中すること。

智慧は、仏様の悟りの智慧を得ること。

では、また明日!

 

門前の小僧、『維摩経』を読む  維摩会(春秋館)で参禅ライフ

*12022年は、維摩経の本が次々と出版されています。

私は今年3月に出版された『全文現代語訳 維摩経勝鬘経

(角川ソフィア文庫)を買いました。

すべて口語訳になっているので、とても読みやすいです。

他にも今年は、『NHK「100分de名著」ブックス 維摩経: 空と

慈悲の物語』(釈徹宗著、NHK出版)も出版されています。

2017年にNHKの『100分 de 名著』という番組で、

維摩経』が紹介されて以来、かなり知名度がアップした

ようです。

他にも『維摩さまに聞いてみた 生きづらい人のためのブッダ

おしえ』(細川貂々著、晶文社)というマンガが今年出版されています。

3年前の2019年には、『サンスクリット版全訳 維摩経 現代語訳』

(植木雅俊著、角川ソフィア文庫)が出版されましたね。

維摩経』は紀元1〜2世紀頃に作られた大乗仏教経典です。

 飛鳥時代に日本に伝わり、聖徳太子による『三経義疏』の

中に『維摩経』が紹介されています(他の二経は『法華経

と『勝鬘経』)。

 ですから、古くから日本人が親しんできたお経といって

よいと思います。

維摩経』、『法華経』、『勝鬘経』の三経に共通するのは、

「家庭の生活を捨てずに、世俗の職業に就きながら、菩薩に

なる道を実践していくことができる」という点だと思います。

私も普通に仕事をもって働きながら、維摩会(春秋館)で

仏教を学び、心を磨いています。『維摩経』の主人公である

維摩居士は、維摩会(春秋館)の宗祖でもあります。

 

維摩経』は、以下の通り全十四章から構成されています。

仏国品第一、方便品第二、弟子品第三、菩薩品第四、問疾品

第五、不思議品第六、観衆生品第七、仏道品第八、入不二法門

品第九、香積仏品第十、菩薩行品第十一、見阿閦仏品第十二、

法供養品第十三、嘱累品第十四。

 

これから皆様と、鳩摩羅什尊者による漢訳『維摩詰所説経』を

最初から読みながら、維摩居士の教えを学んでいきたいと

思います。

第一章の「仏国品」からご一緒に読んでいきましょう。

 

維摩詰所説経  (一名不可思議解脱)

是(かく)の如く我聞きき。

一時(ひととき)、仏、毘耶離の菴羅樹園(あんらじゅおん)に

在(いま)して、大比丘衆八千人と俱(とも)なりき。

菩薩も三万二千おわしき。

衆(もろびと)に知識せられ、大智・本行皆悉く成就し

たまえり。

諸仏の威神(みちから)の建(た)立てたもう所なり。

法の城を譲らんが為に正法を受持し、能く獅子吼して、

名(ほまれ)十方に聞えたり。

衆人請わざるに友として之を安んじ、三宝を紹隆して

能く絶えざらしめ、魔怨を降伏して諸の外道を制す。

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昆耶離とは、ヴァイシャーリーという中インドにある

都市で、通商貿易が盛んだったようです。

菴羅樹園とは、遊女のアームラパーリーが釈尊

寄進した土地です。

比丘とは男性の出家者のことで、この場合は上座部

仏教の出家者を指します。

三宝は「三種の宝」という意味で、仏(ブッダ)、

法(ダルマ)、僧(サンガ)の三つのことです。

 

では、また明日。

 

*1:

ブッダガヤ(筆者撮影)